かぶれ(接触皮膚炎)
何らかの物質との接触によって、赤み・かゆみなどの皮膚の炎症が起こることを一般に「かぶれ」、正式には「接触皮膚炎」と言います。
かぶれ(接触皮膚炎)の原因
かぶれにはいくつかの原因があり、その原因によって以下のように分類できます。
刺激性接触皮膚炎
化粧品、洗剤(石鹸・シャンプーなど)、灯油などの化学物質との接触によって生じる皮膚炎です。
1回の接触によって起こることもあれば、繰り返しの接触によって徐々に症状が現れることもあります。
アレルギー性接触皮膚炎
合成洗剤、化粧品、アクセサリー、香水、動物・植物、外用薬、消毒液、毛染め液などとの接触によって、その物質に対するアレルギーとして生じる皮膚炎です。
光接触皮膚炎
原因となる物質と接触した後、紫外線にさらされることで生じる皮膚炎です。光が当たった部位にのみ炎症が生じるため、光アレルギーと呼ばれることもあります。
全身性接触皮膚炎・接触皮膚炎症候群
繰り返し接触皮膚炎を起こすことで、接触した範囲以外の部位で皮膚炎が起こる病態を指します。
皮膚炎に加えて、鼻炎、腹痛、喘息などの全身症状、あるいはアナフィラキシーを起こすこともあります。
かぶれ(接触皮膚炎)の症状
- 赤み
- かゆみ
- ヒリヒリとした痛み
- ブツブツ、水ぶくれ
- むくみ
かぶれを繰り返していると、皮膚がガサガサ・ゴワゴワしてきたり、色素沈着を起こすこともあります。
かぶれ(接触皮膚炎)の検査
問診では、かぶれを含めた症状、既往歴・家族歴、服用中の薬などについてお伺いします。原因として思い当たる物質、どのような時に症状が現れるかなど、詳しくお聞かせください。
その上で、パッチテストを行います。原因として疑われる物質をお持ちいただき、その物質と一般的にアレルゲンとなることが多い物質を背中または上腕に貼り付けます。そして48時間後に剥がし、同部位の反応を観察します。可能であれば、72時間後、96時間後、1週間後にも同様に観察します。
パッチテストは当院では行っていないため、希望される場合は可能な病院へ紹介となります。
かぶれ(接触皮膚炎)の治療・治し方
原因物質の回避
原因となる物質または原因である可能性の高い物質との接触をできる限り回避します。
その物資と接触しない限り、症状は出ません。お仕事上、どうしても接触の機会を回避できない場合も、手袋を使うなど工夫をし、できるかぎりの接触回避を図ります。
薬物療法
炎症を抑えるためのステロイド外用薬、かゆみに対する抗アレルギー薬などを使用します。
症状がひどい場合には、ステロイドの内服を行うこともあります。
手荒れ(手湿疹・主婦湿疹)
手に現れる炎症を伴うカサカサ、皮剥け、水ぶくれなどを総称して「手荒れ」、正式には「手湿疹」と言います。多くはかゆみを伴い、そのかゆみから掻き壊してジュクジュクとしたり、ひび割れをして痛みが出ることもあります。
水仕事が主な原因であることから、「主婦湿疹」とも呼ばれます。
手荒れの原因
水仕事の時に手で触れる水の冷温、ハンドソープ、食器用洗剤、摩擦などによる刺激を主な原因とします。これらの刺激によって皮膚表面の水分や皮脂が減ることでバリア機能が低下し、手荒れが起こります。
また、金属やゴムに対するアレルギー反応として手荒れが起こるケースも見られます。
手荒れを起こしやすい人は?
以下のような人は、そうでない人よりも手荒れが起こりやすいと言えます。
アトピー性皮膚炎は、そもそも皮膚のバリア機能が低下しているため、より小さな刺激によって手荒れを起こします。
- 洗い物、洗濯などの家事で水仕事をする機会の多い人(主婦・主夫)
- 冷水、温水、洗剤、薬剤などに触れる機会の多い人(美容師・理容師・料理人)
- 手洗いや消毒をする機会の多い人(医療従事者・料理人)
- 乾燥肌の人、アトピー性皮膚炎の人
アトピー性皮膚炎について詳しくはこちら
手荒れの症状
- カサカサ、乾燥
- 皮剥け
- 水ぶくれ
- ジュクジュク
- ひび割れ、痛み
上記のような症状が、手指、手のひら、手の甲、手首などに現れます。
手荒れの治療・治し方
原因の回避
原因の多くは仕事や家事など日常生活と密接に関連しているため、完全に回避することは困難です。
ゴム手袋をする、低刺激の商品を選ぶ、冷水・温水を避けぬるま湯を使うといったことで、できる限り刺激を減らします。
薬物療法
乾燥に対する保湿剤、炎症を抑えるためのステロイド外用薬を使用します。ステロイド外用薬は、用法・用量を守りながら、期間を限定して使用すれば、副作用についてもそれほど心配する必要はありません。
アレルギーを原因とする場合には、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬を使用します。